格付けR&IやJCRなどの第三者機関が、発行体の「約束どおり支払う力」を記号で評価したものです。AAAが最上位で、個人向け社債はA格前後が中心です。 詳しく見る →とは、企業が借りたお金(元本と利息)を約束どおり返す力を、R&IやJCRなどの格付け会社がAAA〜Dの記号で評価したものです。記号は上から AAA > AA+ > AA > AA− > A+ > A > A− > BBB+ > BBB … の順で、A+はAより1段上、AはA−より1段上です。BBB以上が「投資適格」と呼ばれ、個人向け社債の大半はA格以上です。当サイトの実測では、AA格の社債はA格より利率が0.15%ほど低く、BBB格はA格より0.65%ほど高い、というのが格付けと利率の関係です。本稿では格付けの読み方、格付け会社の役割、格付け帯ごとの利率の実測を解説します。
格付けとは?誰が決めているの?
格付けとは、「その企業が、借りたお金(元本や利息)を、約束通りにきちんと返済できる能力がどれくらいあるか」を、専門的な第三者機関が評価し、ランク付けしたものです。
この評価を行うのが「格付け会社」です。日本では、JCR(株式会社日本格付研究所)やR&I(株式会社格付投資情報センター)といった会社が有名で、企業の財務状況や事業の将来性などを厳しく分析し、中立的な立場で格付けを決定しています。
格付けの読み解き方
格付けは、最も安全性が高いAAA(トリプルA)から始まり、AA、A、BBB、BB…と続いていきます。
| 格付けランク | 安全性の目安 | 評価 |
| AAA | 極めて高い | 返済能力は最も高く、信用リスクは最小限。 |
| AA | 非常に高い | 返済能力は非常に高く、信用リスクはごくわずか。 |
| A | 高い | 返済能力は高いが、将来の環境変化にやや影響される可能性がある。 |
| BBB | 中程度 | 返済能力は十分ですが、経済環境の悪化などで問題が生じる可能性がある。 |
| BB以下 | 投機的 | 返済能力に問題があり、将来的にリスクが高まる可能性がある。 |
一般的に、BBB以上の社債を「投資適格債」、BB以下の社債を「投機的格付債(ハイ・イールド債)」と呼びます。
特に投資初心者の方は、リスクを抑える目安として「A(シングルA)」以上の社債を選ぶのがおすすめです。
「AA」と「A+」はどっちが安全?
結論から言うと、「AA」の方が安全です。
同じアルファベットの中でも、+や-の記号で、さらに細かくランク分けがされています。安全性の序列は以下のようになります。
安全性が高い ← AA+ > AA > AA- > A+ > A > A- → 安全性が低い
A+は「A」のグループの中では最も評価が高いですが、「AA」グループの中で最も評価が低いAA-よりも、一段階下のランクになります。
もちろん、格付けが高いほど安全性は増しますが、その分、利率は低くなる傾向にあるため、両者のバランスを見ることが重要です。
まとめ
社債の格付けは、その安全性を客観的に示してくれる、投資家にとっての強力な味方です。
利率の高さだけに目を奪われず、必ず格付けを確認し、「どれくらいの安全性を求めるか」と「どれくらいのリターンを期待するか」のバランスを考えることが、失敗しない社債選びの鍵となります。
実際の格付けと利率を見てみよう
「AA格とA-格で、実際どのくらい利率が違うのか」——これを当サイトの発行履歴データベースから実測で集計しました。
| 格付け帯 | 利率の中央値 | 実測レンジ | 集計本数 |
|---|---|---|---|
| AA帯 | 年1.70% | 1.37〜2.64% | 8本 |
| A帯 | 年1.94% | 1.41〜3.02% | 20本 |
| BBB帯 | 年2.57% | 1.57〜3.66% | 4本 |
| 無格付 | 年2.39% | 1.38〜3.14% | 8本 |
当サイト発行履歴データベース収載の個人向け社債のうち、2025年1月〜2026年9月に条件決定投資家の需要を見ながら、仮条件の範囲内で実際の利率などが確定することです。した年限3〜5年の銘柄(劣後債発行体が破綻したとき、弁済の順位が普通の債券より後回しになる債券です。その分だけ利回りが高く設定されます。 詳しく見る →等を含む)を当サイトが集計。
この実測から読み取れることは3つあります。第一に、格付けが1帯下がるごとに、利率の相場はおおむね0.2〜0.6%上乗せされること——これが本記事で説明した「安全性と利率のバランス」の実際の値段です。第二に、個人向け市場の中心はA帯(集計中最多の20本)で、AA帯は「安全だが預金との差が小さい」、BBB帯は「利率は魅力的だが本数が少なく選べない」という市場の形が見えます。第三に、無格付格付機関の評価を取得していないことです。必ずしも危険という意味ではありませんが、信用力を自分で判断する必要があります。 詳しく見る →の中央値がBBB帯より低いのは意外に思えますが、「無格付=低信用」ではなく、格付けを取得しないだけの堅い発行体債券を発行してお金を借りる企業・政府・機関のことです。債券投資は「発行体にお金を貸す」ことにあたります。からリスクの高い発行体まで様々だという証拠です。無格付債は帯で判断できないぶん、個別の発行体分析が必須になります。
利率の階段の正体——「スプレッド」で見た信用の値段
上の利率の表には弱点があります。利率は「その時の国債利回り(ベース金利)+発行体への上乗せ(スプレッド国債など基準となる金利への「上乗せ幅」のことです。発行体の信用リスクと流動性の対価で、社債の値段の本体といえます。 詳しく見る →)」なので、金利が動く局面では、集計に含まれる時期によって数字が変わってしまうのです。そこで、各社債の条件決定日の同じ年限の国債利回り(財務省「国債金利情報」)を引いたスプレッドで集計し直しました。これが時期に左右されない「格付け帯ごとの信用の値段」です。
| 格付け帯 | スプレッドの中央値 | 集計本数 |
|---|---|---|
| AA帯 | +0.35% | 23本 |
| A帯 | +0.49% | 88本 |
| BBB帯 | +1.15% | 9本 |
| (参考)劣後・コール条項付き | +0.90% | 40本 |
2022年以降に条件決定した普通社債(年限3〜10年)を対象に、スプレッド=利率−条件決定日の同年限国債利回りの中央値を集計。劣後・コール条項満期より前に、発行体が債券を額面などで償還できる条項のことです。劣後債では「最初のコール日に償還するのが慣行」ですが、義務ではありません。 詳しく見る →付きは初回コール年限で比較。2021年以前は国債利回りがマイナスで、利率を絶対水準で決める「絶対値決め」が主流だったため除外しています。なお年限3〜10年を混在させた集計であり、本来は同年限で揃えるべき乱暴な比較です。格付け帯ごとの大づかみの差を見る目安としてお読みください。当サイト集計。
階段がはっきりしました。AA帯+0.35%、A帯+0.49%、BBB帯+1.15%——AA帯からA帯への1段は+0.14%程度ですが、A帯からBBB帯への1段は+0.66%と、4倍以上開きます。投資適格の下限に近づくほど、市場が要求する値段が急に上がる構造です。なおA帯の平均値は+0.73%と中央値より大きく上にずれていますが、これはソフトバンクグループなど「格付けの割に厚い上乗せが付く発行体」が平均を引き上げているためで、同じA帯でも発行体によってスプレッドは+0.3%から+2%台まで幅があります。格付け帯は入口の目安であって、最終的な値段は発行体ごとに違う——このことはソフトバンクグループ債のスプレッド実測で具体的に確認できます。すべての銘柄のスプレッドは発行履歴データベースに掲載しています。
個別の銘柄は個人向け社債の発行履歴データベースで、2020年以降の全銘柄について格付けと利率をセットで一覧にしています。また、格付けと利率の差がどういう理屈で生まれるのかを深く知りたい方は、クレジット・スプレッド分析の記事へ進んでみてください。
💰 次のステップ:口座の準備
気になる社債を見つけても、取扱証券会社の口座がなければ申し込めません。人気の社債は募集初日に完売することも多く、口座開設には数日かかります。格付けの見方がわかったら、先に口座を準備しておきましょう。
個人向け社債に強い証券会社を比較する新しい募集が公表された日・利率が決まった日・募集が始まった日の3回、条件の要点(利率・年限・格付け・募集期間・取扱証券会社)をメールで届けます。人気銘柄は初日に売り切れるので、募集開始の前に備えられます。配信は月に数回。いつでも解除できます。
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