最近、食品や電気代など、身の回りのあらゆるものの値段が上がる「インフレ(インフレーション)」が続いています。
このインフレ、実はあなたが保有している社債の価値にも、静かに、しかし確実に影響を与えています。 「固定金利で安定しているから安心」と思っていても、インフレが進むと、あなたの資産の実質的な価値は目減りしてしまうかもしれません。
この記事では、インフレが社債投資に与える影響と、インフレ時代に注目すべき債券の種類について解説します。
なぜ、インフレは「固定金利」の敵なのか?
現在発行されている個人向け社債のほとんどは、満期まで利率が変わらない「固定金利」です。これがインフレの局面では、弱点となってしまいます。
簡単な例で考えてみましょう。 あなたが、利率2%の5年満期の社債を100万円分、購入したとします。
- インフレがない世界: 毎年2万円の利息は、そのまま2万円の価値があります。5年後の100万円も、今の100万円と同じ購買力を持ちます。
- 毎年3%のインフレが続く世界: 毎年2万円の利息をもらっても、世の中のモノの値段が3%ずつ上がっていくため、その2万円で買えるモノの量は年々減っていきます。さらに、5年後に戻ってくる100万円も、インフレによって実質的な価値(購買力)は、現在の約86万円まで目減りしてしまいます。
このように、インフレ率が社債の利率を上回ってしまうと、名目上は利益が出ていても、実質的には資産が減っているという状況に陥ってしまうのです。
インフレに対抗できる債券:「物価連動国債」
では、インフレから資産を守るにはどうすれば良いのでしょうか。その答えの一つが「物価連動債」です。
これは、インフレ(物価の上昇)に合わせて、元本(額面金額)が増えるように設計された特殊な債券です。
- 仕組み: 全国の物価の動きを示す「全国消費者物価指数(CPI)」に連動して、元本部分が変動します。 例えば、物価が2%上昇すれば、元本も2%増額されます。利息は、この増額された元本に対して支払われるため、受け取れる利息の額も増えることになります。
- 日本の物価連動債: 日本では、主に財務省が「物価連動国債」を発行しています。個人が直接購入するのは少し難しいですが、この物価連動国債を組み入れた投資信託を通じて、間接的に投資することが可能です。
まとめ:インフレへの備えをポートフォリオに
私たちが主に投資する「固定金利」の個人向け社債は、残念ながらインフレに弱いという性質を持っています。
だからといって、社債投資が無意味になるわけではありません。大切なのは、この性質を理解した上で、
- インフレ率を上回る利率の社債を選ぶ
- 資産の一部を、株式や不動産、物価連動国債ファンドといったインフレに強いとされる他の資産に分散させる
といった、インフレへの備えをポートフォリオ全体で考えることです。
金利の動きだけでなく、物価の動きにも目を向けることが、これからの時代、あなたの資産を守り育てる上でますます重要になっていくでしょう。


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