円建てでも発行体は海外企業?「サムライ債」の仕組みと特徴

社債のリストを眺めていると、時々、インドネシア共和国やルノーといった、海外の超有名企業や政府機関が「円建て」で債券を発行しているのを見かけることがあります。

「海外の会社なのに、なぜ円で?」 「為替リスクはないの?」

このように、海外の発行体が日本国内の市場で、円建てで発行する債券のことを、通称「サムライ債(円建外債)」と呼びます。

この記事では、少しユニークなこの「サムライ債」の仕組みと、投資する上でのメリット・注意点を解説します。


サムライ債の基本

  • 発行体(お金を借りる人): 海外の政府、国際機関、企業など
  • 投資家(お金を貸す人): 日本の投資家が中心
  • 通貨: 日本円

サムライ債の最大の特徴は、お金の募集から利息の支払い、満期の元本返済まで、すべてが日本円で行われることです。

そのため、私たちが前回の記事で学んだ「外貨建て社債」とは異なり、為替レートの変動によって円ベースでの手取り額が変わってしまう「為替リスク」が一切ありません。


なぜ、日本の社債より利率が高い傾向にあるのか?

為替リスクがないにもかかわらず、サムライ債は、同じくらいの格付けを持つ日本の企業が発行する社債よりも、利率が少し高く設定される傾向にあります。これには、いくつかの理由があります。

  1. 発行体の資金調達ニーズ: 海外の発行体にとって、日本での資金調達はあくまで選択肢の一つです。日本の投資家にとって魅力的な利率を提示しないと、自国の市場や他の市場でお金を集めた方が有利になってしまいます。そのため、少し高めの金利を設定して、日本の投資家を惹きつけているのです。
  2. 情報開示のハンディキャップ: 日本の投資家にとって、海外企業の情報は国内企業に比べて手に入りにくいものです。この情報の不利な点を補うために、利率にプレミアム(上乗せ金利)が付けられることがあります。

サムライ債に投資する際の注意点

為替リスクがなく、利率も魅力的ですが、注意すべき点もあります。

  • 信用リスクの判断が難しい: 最大のリスクは、国内社債と同じ「信用リスク」ですが、その判断が少し難しくなります。私たちはAppleやGoogleのような超有名企業のことはよく知っていますが、あまり馴染みのない海外企業や政府機関の財務状況や将来性を、国内企業と同じレベルで判断するのは簡単ではありません。
  • サムライ債のフォーマットで個人向け社債を発行している発行体は数少なく、発行されているサムライ債のほとんどは機関投資家向け(プロ向け)社債です。プロ向けの社債は、一般的に個人向け社債と比較して投資家保護が弱いです。しかし、個人投資家でも個人の資産管理会社やオーナー法人の口座でプロ向け社債を購入することは可能なことが多いです。

まとめ

サムライ債は、

  • 為替リスクなしで、
  • 日本の社債より少し高いリターンが狙える、

非常に魅力的な「いいとこ取り」の金融商品です。

投資する際は、発行体の知名度だけでなく、国際的な格付けをしっかりと確認し、その企業の信用力を客観的に判断することが成功の鍵となります。ポートフォリオの分散先として、海外の優良企業に円建てで投資できるサムライ債を、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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