楽天グループの個人向け社債(円建て)の発行履歴を、当サイトの発行履歴データベースから発行体債券を発行してお金を借りる企業・政府・機関のことです。債券投資は「発行体にお金を貸す」ことにあたります。別にまとめたページです。掲載データは2022年以降の3回分。回号にリンクがある銘柄は、運営者による「プロの視点」付きの個別解説があります。
発行体分析:楽天グループの信用力と発行戦略
楽天グループのクレジットストーリーは、この10年の日本社債市場で最もドラマチックなものでした。Eコマース・フィンテックの優良事業体が、楽天モバイルへの数兆円規模の投資で財務を大きく傷め、2022〜23年には社債市場で借換懸念が公然と語られる局面まで行きました。その後はモバイル契約数の伸びと徹底した資金調達(増資・資産売却・高利率の外債)で峠を越えつつありますが、有利子負債の絶対額は依然大きく、「モバイルの単月黒字化がいつ恒常化するか」が信用力の分水嶺であり続けています。
個人向け債(楽天債)は、この局面で同社を支えた重要な調達チャネルです。楽天経済圏の顧客が自社サービスへの信頼で買い支える構図は、SBGと並ぶ「ブランドがクレジットを補完する」日本的現象と言えます。
【見るべきポイント】①モバイルセグメントの損益とグループの手元流動性売りたいときに、すぐ適正な価格で売れるかどうかの度合いです。流動性が低い銘柄ほど売買のコストが大きくなります。(四半期決算で必ず確認)。②直近の借換がどの市場・どの利率で消化されているか。③高利率は借換リスクの対価です。「楽天だから大丈夫」でも「危ないから避ける」でもなく、改善トレンドと利率のバランスで判断する銘柄です。
📊 最新データ(当サイト集計・2026年8月(2026年度第2四半期決算)時点)
- モバイルセグメントEBITDA: 2026年度第1四半期に+10億円と本格参入後初の黒字化。第2四半期も+68億円と黒字を継続し、Non-GAAP営業損失は331億円まで縮小しています
- 連結EBITDA: 第1四半期で1,088億円(前年同期比+36.2%)と過去最高圏です
- 2026年の社債償還満期を迎えて、額面のお金が投資家に払い戻されることです。は全額資金手当て済み——2026年4月に米ドル建永久劣後債発行体が破綻したとき、弁済の順位が普通の債券より後回しになる債券です。その分だけ利回りが高く設定されます。 詳しく見る →、6月に円建シニア債弁済順位が標準的な(劣後しない)債券のことです。普通社債はこれにあたります。劣後債の対義語として使われます。を全額償還。5月には保有有価証券の一部売却で約2,000億円を調達しました
本ページの論点である「借換を続けられるか」は、少なくとも2026年分についてはクリアされました。次の焦点は2027年以降の償還原資と、モバイル黒字の定着です。
この欄は決算にあわせて当サイトが更新します(最終更新: 2026-09-03)。
発行履歴
| 条件決定 | 回号 | 年限 | 利率(%) | 国債利回り | スプレッド | 発行額 | 格付 | 主幹事 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025/07/23 | 25 | 3 | 2.336 | 0.897 | +1.44 | 1300億円 | A-(J) | みずほ/大和/楽天/日興/野村/三菱 |
| 2023/01/27 | 22 | 2 | 3.30 | 0.001 | +3.30 | 2500億円 | A(J) | 大和/日興/楽天/野村/三菱 |
| 2022/05/27 | 21 | 3 | 0.72 | -0.051 | +0.77 | 1500億円 | A(J) | 大和/楽天/みずほ/三菱UFJMS/野村 |
利率はどう動いてきたか
当サイト集計の範囲では、2022年の0.72%台から直近2025年の2.34%まで、市場金利の上昇を反映して条件が切り上がってきました。年限や商品性(普通社債かハイブリッドか)で水準は大きく異なるため、比較の際は同じ年限・同じ商品類型で見ることが重要です。市場全体の水準は平均利率の推移(全銘柄データ)を参照してください。
次の発行はいつか——償還・コールのスケジュールから読む
社債の新規発行のタイミングを読む実務的な手がかりの一つが、既発債すでに発行され、市場で流通している債券です。証券会社の在庫から、募集を待たずにいつでも購入できます。 詳しく見る →の償還・初回コールに伴う借換(リファイナンス)需要です。既発債が満期を迎える(またはコールされる)時期の前後は、その資金を手当てするための新発債これから新しく発行される債券です。募集期間中に申し込み、通常は額面どおりの価格で購入します。が出やすくなります。
ただし、ここで大事な留保があります。発行体の資金調達は、個人向け債だけでなく機関投資家生命保険会社・銀行・年金基金など、大量の資金を運用するプロの投資家のことです。債券市場の売買の大部分を占めます。向け(ホールセール)の社債・外貨建て債・銀行借入・CPまで含めた満期構成全体で管理されています。下の表は当サイトが捕捉している個人向け債の分だけなので、表に何もなくても、ホールセール債や外債の償還を個人向けの新発で借り換える形の発行は普通にあります。機関投資家側の投資枠が既発債で埋まっている発行体ほど、償還の受け皿を個人市場に求めやすい——つまり個人向けの発行はむしろ「調達全体の玉突き」の結果として出てくることが多い、というのがプロの見方です。その前提の上で、個人向け分の償還・初回コールの推定は以下の通りです(当サイト推定・確約ではありません)。
| 時期(推定) | 回号 | イベント | 年限 | 発行額 |
|---|---|---|---|---|
| 2028年7月頃 | 25 | 償還 | 3 | 1300億円 |
この償還・コールが集中する時期の前後は、借換の新発債が出やすい局面の一つと読めます。ただし前述の通り、これは個人向け分だけを見た下限的な手がかりです。逆方向も同様で、表に償還があっても現金・ホールセール債・借入など他の手段で賄われることは普通にあります。新しい発行が公表されると、当サイトはトップページの募集中一覧に掲載し、個別解説ページを作成します。
人気の銘柄は募集初日に完売することが多く、口座開設には数日かかります。「発行が発表されてから口座を作る」のでは間に合わないため、個人向け社債に強い証券会社の比較を参考に、口座は先に準備しておくのが実務上の第一歩です。
関連記事:「SBI債」「楽天債」は本当に“買い”か / IT企業の社債は買いか / 個人向け社債の平均利率の推移(全銘柄データ)
出所:各発行体・引受証券会社が発行体から債券をいったん買い取り、投資家に販売することです。引き受ける証券会社の集まりを引受団と呼びます。証券会社の公表情報を基に当サイト集計。条件決定投資家の需要を見ながら、仮条件の範囲内で実際の利率などが確定することです。日ベース(※印は発行日)。国債利回りは条件決定日の同年限の値(財務省「国債金利情報」=日本相互証券の引け値ベース。NC付きは初回コール年限、中間年限は補間)、スプレッド国債など基準となる金利への「上乗せ幅」のことです。発行体の信用リスクと流動性の対価で、社債の値段の本体といえます。 詳しく見る →=利率−国債利回り。2021年頃までのマイナス金利期は利率を絶対水準で決める「絶対値決め」が多く、その期間のスプレッドは信用リスク発行体が利子や元本を約束どおり支払えなくなるリスクです。債券投資の中心的なリスクで、格付けやスプレッドで値付けされます。の値段としては読めません。正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は必ず目論見書債券の発行条件やリスクを記載した法定の開示書類です。購入前に必ず交付されます。 詳しく見る →等の原資料をご確認ください。
