金利の上昇とともに、いま最も注目が集まっている「守りの運用先」が個人向け国債国が個人限定で発行する国債です。毎月募集・1万円から購入でき、変動10年・固定5年・固定3年の3種類があります。 詳しく見る →です。とくに半年ごとに利率が見直される「変動10年」は、金利が上がる局面で利息もついてくる、この環境の主役級の商品です。本ページでは、証券会社で債券業務の実務経験を持つ運営者が、個人向け国債の仕組み・3タイプの選び方・社債との使い分けまでを一枚で解説します。
今月の金利(2026年9月募集分)
募集期間:2026年9月3日(木)〜2026年9月30日(水)。出所:財務省。個人向け国債は毎月発行され、利率は毎月更新されます。最新の利率は財務省の個人向け国債ページでも確認できます。
個人向け国債の基本:6つのポイント
- 元本割れなし:満期時の元本と半年毎の利子の支払いを国が行います。市場金利が動いても元本部分の価格は変動しません
- 国が発行:発行体債券を発行してお金を借りる企業・政府・機関のことです。債券投資は「発行体にお金を貸す」ことにあたります。は日本国。国内の円建て商品では最上位の信用力です
- 1万円から購入可能:社債の多くが10万円〜100万円単位なのに対し、1万円単位で買えます
- 最低金利保証 年0.05%:どれだけ金利が低下しても、利率が0.05%を下回ることはありません
- 毎月発行:年12回、いつでも「今月分」を買えます。社債のように募集タイミングを待つ必要がありません
- 中途換金も可能:発行から1年経過すれば、1万円単位で国が額面債券の券面上の金額で、満期に払い戻される基準です。債券価格は「額面100あたり」で表されます。で買い取ります(直前2回分の利子相当額×0.79685が差し引かれます)
3タイプの違いと選び方
| 変動10年 | 固定5年 | 固定3年 | |
|---|---|---|---|
| 利率の決まり方 | 基準金利×0.66 (半年毎に見直し) | 基準金利−0.05% (満期まで固定) | 基準金利−0.03% (満期まで固定) |
| 金利が上がると | 利息も増える | 変わらない | 変わらない |
| 金利が下がると | 利息も減る(下限0.05%) | 変わらない | 変わらない |
| 向いている人 | 金利上昇が続くと考える人/長く置ける資金 | 今の利率を固定したい人 | 数年内に使う予定の資金 |
個人向け国債だけが国債ではありません。市場で取引される利付国債(10年で年2.9%台)や、満期まで国債を持つ投資信託という選択肢もあり、同じ国債でも受け取れる利率が1〜2%違います。3つの違いは日本国債を持つ3つの方法で表にして比べています。
プロの視点:金利上昇局面でどう考えるか
変動10年は、個人が買える円建て商品の中で「金利上昇についていける」数少ない商品です。固定金利の債券は、買った瞬間に将来の利率が確定してしまうため、その後さらに金利が上がると「もっと待てばよかった」という機会損失が生まれます。変動10年は半年毎に利率が見直されるため、この悩みから解放されます。しかも中途換金のペナルティは直前2回分の利子相当額だけで、元本は割れません。「金利がまだ上がるかもしれない」と迷っている資金の置き場所として、これほど設計が噛み合う商品は他にありません。
一方で興味深いのは固定5年(年2.24%)の水準です。当サイトの集計では、2026年の個人向け社債の平均利率は2.33%。つまりいま、信用リスク発行体が利子や元本を約束どおり支払えなくなるリスクです。債券投資の中心的なリスクで、格付けやスプレッドで値付けされます。のない国債と社債平均の差は0.1%程度しかありません。もちろん年限や銘柄によって差はあり、高格付けR&IやJCRなどの第三者機関が、発行体の「約束どおり支払う力」を記号で評価したものです。AAAが最上位で、個人向け社債はA格前後が中心です。 詳しく見る →のA格5年社債でも2.4〜2.9%程度の利率が付いていますが、「社債の上乗せ分(スプレッド国債など基準となる金利への「上乗せ幅」のことです。発行体の信用リスクと流動性の対価で、社債の値段の本体といえます。 詳しく見る →)が、その発行体の信用リスクに見合うか」を国債の利率と比べて考える——これは機関投資家生命保険会社・銀行・年金基金など、大量の資金を運用するプロの投資家のことです。債券市場の売買の大部分を占めます。が毎日やっている思考そのものです。個人向け国債の利率は、すべての社債を測るモノサシとして使ってください。
社債との使い分け
| 個人向け国債 | 個人向け社債 | |
|---|---|---|
| 信用リスク | 日本国(最上位) | 発行体次第(格付けで確認) |
| 利率の目安 | 変動10年 1.95%/固定5年 2.24% | おおむね2〜4%台(発行体・年限による) |
| 購入単位 | 1万円から | 10万円〜100万円単位が中心 |
| 買えるタイミング | 毎月いつでも | 募集期間のみ(人気債は初日完売も) |
| 中途換金 | 1年経過後、額面で国が買取 | 時価での売却(元本割れあり得る) |
実務的な結論はシンプルです。「土台は個人向け国債、上乗せを狙う部分だけ社債」。まず変動10年で金利上昇についていける土台を作り、その上で「国債よりどれだけ高い利率なら、この会社の信用リスクを取ってよいか」という目線で募集中の社債や発行履歴データベースを眺めると、それぞれの社債の条件の意味が立体的に見えてきます。
どこで買えるか
個人向け国債は、証券会社・銀行・郵便局など、ほとんどの金融機関で購入できます(購入手数料は無料)。どこで買っても商品は同じですが、ネット証券は購入金額に応じたキャッシュバックなどのキャンペーンを実施していることが多く、同じ商品なら受け取れるものが多い窓口で買うのが合理的です。また、個人向け社債と同じ口座で管理できるため、社債投資を考えている方は、社債の取扱が多い証券会社でまとめて持つのが実務的です。
よくある質問
利息に税金はかかりますか?
かかります。社債と同じく20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が源泉徴収されます。特定口座証券会社が損益の計算と納税(源泉徴収あり)を代行してくれる口座です。債券も株式と同じくこの口座で取引できます。(源泉徴収あり)なら確定申告は原則不要です。なお新NISAの対象外である点も社債と同じです。
変動10年の利率は、いつ・どう変わりますか?
半年毎の利子計算期間ごとに、その時点の基準金利(10年国債の入札結果に基づく金利)×0.66で再設定されます。表示されている利率はあくまで「初回の利率」で、2回目以降はその時々の金利水準次第です。
固定5年と5年の社債、どちらがよいですか?
「どちらか」ではなく「差で考える」のが正解です。社債の利率から固定5年の利率を引いた差が、その発行体の信用リスクを取る対価として十分かどうか——格付けとクレジット・スプレッドの考え方を使って比較してください。差が小さいと感じるなら国債で十分ですし、納得できる差が付いている社債なら上乗せを取りに行く価値があります。
金利・募集期間は2026年9月募集分の情報です(出所:財務省)。利率は毎月更新されるため、購入時は必ず最新の条件をご確認ください。本ページは情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的としたものではありません。
