外貨建て社債の利金・償還金はいつ円にする?「円貨受取」と「外貨受取」で変わる為替コストの実務

外貨建て社債の利金・償還金はいつ円にする?「円貨受取」と「外貨受取」で変わる為替コストの実務 【外貨建て債】外債と売出債

結論:外貨建て社債の利金・償還満期を迎えて、額面のお金が投資家に払い戻されることです。金は、証券会社の設定によって「自動的に円貨へ両替される(円貨受取)」か「外貨のまま口座に残す(外貨受取)」かを選べ、この一つの設定で為替コストが変わります。SBI証券は円貨受取がデフォルト発行体が利子や元本を約束どおり支払えなくなること(債務不履行)です。債券投資で最も避けたい事態です。で、変更しなければ入金の翌営業日に片道25銭(米ドル)の為替スプレッド国債など基準となる金利への「上乗せ幅」のことです。発行体の信用リスクと流動性の対価で、社債の値段の本体といえます。 詳しく見る →を払って自動的に円転されます。外貨受取に切り替えたうえで自分でリアルタイム為替取引を使えば、米ドル/円に限り為替手数料は0銭です。ただし外貨のまま置いておけるのは「両替の手続きを自分で選べる」という話であり、いつ両替するかという為替変動の予測とは別問題です。以下、SBI証券・楽天証券の実際の手数料と手続き期限をもとに整理します。

利金・償還金は、まず外貨のまま口座に届く

米ドル建てなどの外貨建て社債は、利払日・償還日になったからといって最初から円で入金されるわけではありません。SBI証券の説明では、国内の支払日の前営業日夜間に、いったん外貨(米ドルなど)のまま証券口座の外貨預り金に入金される、という順序になっています。この時点から先を「円貨で受け取る」か「外貨のまま受け取る」かを投資家が選べるのが、外貨建て債券の受取方法の仕組みです。円貨受取を選んでいる場合は、外貨入金の翌営業日にある最初の為替取引(定時為替取引)で自動的に円へ両替され、その為替レートは投資家側で選ぶことができません。

「円貨受取」はデフォルト設定——変更しないと自動で両替される

SBI証券では、外貨建債券の利金・償還金の受取方法は「口座管理」>「口座(外貨建)」>「外貨建債券利金償還金受取方法指定」から「円貨で受取」⇔「外貨で受取」を変更でき、変更しなければ円貨で受取のまま処理されます。変更できる期限は利金または償還金の国内支払日の前営業日19時までで、この期限内であれば何度でも設定を変更できます。

楽天証券にも同様に「外貨決済サービス」があり、償還金や利金を外貨のまま保有して、為替レートの変動に応じて両替のタイミングを見計らうことができます。ただし変更手続きの期限はSBI証券より早く、利金支払日・償還日それぞれの4営業日前の15時までに手続きを済ませる必要があります。「支払日の前日に気づいて設定を変える」というやり方はSBI証券の一部の運用に近く、楽天証券では通用しないため、あらかじめカレンダーで確認しておく必要があります。

為替コストはいくら違うか——通貨別スプレッド

円貨で自動的に両替される場合の為替コストは、証券会社が定める為替スプレッドとして確定的に発生します。楽天証券が公表している外国債券の為替スプレッド(日本時間15時頃の仲値が基準)は次のとおりです。

通貨為替スプレッド(片道)
米ドル25銭
ユーロ50銭
英ポンド70銭
豪ドル70銭
NZドル70銭
南アフリカランド25銭
トルコリラ15銭
メキシコペソ20銭
ブラジルレアル80銭
インドルピー5銭

SBI証券の場合、円貨受取を選んで自動両替される「定時為替取引」の為替手数料は米ドルで片道25銭です。一方、外貨受取に切り替えて自分でリアルタイム為替取引を使うと、米ドル/円に限り2023年12月1日から為替手数料が0銭になっています。楽天証券も2023年11月から米ドルのリアルタイム為替取引の手数料を0銭に引き下げています。ただし、この無料化は米ドル/円に限られており、豪ドルや南アフリカランドなど他の通貨は、リアルタイム取引であってもスプレッドが残ります。「外貨受取にすれば必ず為替コストがゼロになる」わけではなく、無料化の恩恵があるのは実質的に米ドル建て社債だけです。

試算——1万ドルの利払いと10万ドルの償還で何円違うか

1米ドル=150円と仮定して(あくまで試算のための前提です)、円貨受取と外貨受取でコストがどれだけ違うかを比べます。

受取額円貨受取(片道25銭)外貨受取+米ドルのリアルタイム為替(0銭)
利金 10,000ドル約2,500円のコスト0円
償還金 100,000ドル約25,000円のコスト0円

米ドル建て社債であれば、円貨受取のまま放置するか、外貨受取に切り替えて自分でリアルタイム為替取引を使うかで、この分だけ受取額が変わります。額面債券の券面上の金額で、満期に払い戻される基準です。債券価格は「額面100あたり」で表されます。が大きい償還時ほど金額のインパクトも大きくなります。一方、米ドル以外の通貨建て社債では、円貨受取・外貨受取のどちらを選んでも同じスプレッド(豪ドルなら70銭)が適用されるため、外貨受取にする意味は「コストを消すこと」ではなく「両替するタイミングを自分で選べること」に限られます。

外貨のまま置いておく、という選択肢——為替リスクを消すわけではない

SBI証券では、外貨建債券の利金・償還金を米ドル・南アフリカランド・トルコリラの外貨建てMMFで自動買付する設定もできます。円に両替せず外貨のまま運用を続けたい場合の選択肢です。ただし、ここで注意したいのは、外貨のまま置いておくことは「両替タイミングを先送りする」ことであって、将来の為替変動リスクを消すものではないという点です。円高が進めば目減りし、円安が進めば増えます。予測に基づいて両替の時期を選ぶこと自体は個々の投資判断であり、本稿が扱っているのは「両替そのものにかかる手数料」の実務です。将来の為替変動リスクをあらかじめ固定したい場合は、ヘッジ付き投資信託やリパッケージ債といった別の手段があり、その仕組みとコストは外債の為替ヘッジの実務で解説しています。

実務のチェックリスト

  • 保有している証券会社で、利金・償還金の受取方法が「円貨受取」と「外貨受取」のどちらになっているかを確認する(証券会社によってデフォルトも変更期限も異なります)
  • 変更できる期限は証券会社ごとに違う(SBI証券は支払日の前営業日19時まで、楽天証券は支払日の4営業日前15時まで)
  • 米ドル建て社債は、外貨受取に切り替えてリアルタイム為替取引を使うと為替手数料を抑えやすい
  • 米ドル以外の通貨建て社債はスプレッドそのものは残るため、外貨受取の効果は両替タイミングの自由度にとどまる
  • 外貨のまま置いておく判断は、為替変動リスクを先送りしているだけであり、消しているわけではない

まとめ

外貨建て社債の利金・償還金は、何もしなければ証券会社の定める為替レートで自動的に円へ両替されるのが一般的な初期設定です。この自動両替のコストは通貨ごとに決まっており、米ドルであれば証券会社によってはリアルタイム為替取引を自分で使うことでゼロに近づけられますが、他の通貨では避けられません。証券会社ごとに設定画面や変更期限が異なるため、外貨建て社債を保有している場合は、次の利払日・償還日を待つ前に自分の口座の設定を一度確認しておくとよいでしょう。証券会社ごとの取扱いの違いは証券会社の比較記事、途中で売却する場合の実務は途中売却の記事、利息にかかる税金は税金の記事、発行体債券を発行してお金を借りる企業・政府・機関のことです。債券投資は「発行体にお金を貸す」ことにあたります。の信用力の見方は格付けの記事もあわせてご覧ください。

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や証券会社の勧誘ではありません。条件はSBI証券・楽天証券の公表資料に基づきます。

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