「福岡ソフトバンクホークスボンド」——ソフトバンクグループの個人向け社債には、毎回このような愛称が付き、購入者全員にホークスグッズが贈られます。鉄道会社が観光列車の名前を社債の愛称にしたり、JERAがプロ野球関連の特典を付けたりと、愛称・特典付きの社債は個人向け市場の風物詩です。これは投資判断にどう関係するのでしょうか。
特典を「利率に換算」してみる
まず冷静に、特典の経済価値を利率に直してみます。仮に特典グッズの価値を3,000円とし、100万円の社債を7年持つとします。3,000円は100万円に対して0.3%ですが、これは7年で一度だけの受け取りなので、年率に換算すると約0.04%。利率が0.05%違えば特典の価値は消える計算です。つまり特典は利率の代わりにはなりません。「特典があるから買う」は、社債の判断としては成り立たないのです。
では、なぜ発行体は愛称と特典を付けるのか
答えはマーケティングです。個人向け社債は、発行体債券を発行してお金を借りる企業・政府・機関のことです。債券投資は「発行体にお金を貸す」ことにあたります。にとって「機関投資家生命保険会社・銀行・年金基金など、大量の資金を運用するプロの投資家のことです。債券市場の売買の大部分を占めます。の枠が埋まった後でも大型調達を消化できる、もう一つの財布」です(個人向けが存在する理由)。その財布を大きく保つには、個人投資家に覚えてもらい、好きになってもらう必要があります。愛称は検索されやすさと記憶への定着、特典は「買ってよかった」の実感——どちらも次回も買ってくれる個人投資家を育てるための投資です。1兆円を個人だけで消化する発行体がグッズを配る理由は、ここにあります。
ですから、愛称・特典付きの社債を見たら「発行体が個人市場をどれだけ重視しているか」のサインとして読むのが正しい使い方です。個人市場を大切にする発行体は、個人向けの利率を機関投資家向けより「気持ち厚め」に付ける傾向もあり、その意味では間接的に投資家の利益につながることもあります。
判断の順番は変えない
愛称や特典がどれだけ魅力的でも、見る順番は変わりません。①発行体の信用力(発行体別ページ)、②格付けR&IやJCRなどの第三者機関が、発行体の「約束どおり支払う力」を記号で評価したものです。AAAが最上位で、個人向け社債はA格前後が中心です。 詳しく見る →(格付けの見方)、③年限と利率が同種の他社債と比べて妥当か(利率の決まり方)。この3つを確認した結果「買う」と決めた社債にグッズが付いてくるのなら、それは素直に楽しめばよいおまけです。順番が逆になった瞬間、社債投資は応援消費に変わります。
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コメント
[…] の社債と大きくは変わりません。ST債だからといって利率が高くなるわけではなく、特典の価値を利率に換算して比べる必要があります(換算の考え方は愛称・特典付き社債の読み方)。 […]
[…] 事業に限定されています。利率は同じ団体の通常の公募債と大きくは変わらないので、使い道に意味を見いだすかどうかは投資家次第です(愛称・特典付き社債の読み方と同じ考え方)。 […]