既発外債の買い方——単価・経過利子・スプレッド・為替手数料の実務

既発外債の買い方——単価・経過利子・スプレッド・為替手数料の実務 【外貨建て債】外債と売出債

既発外債(きはつがいさい)とは、すでに海外市場で発行され流通している外貨建て債券を、証券会社の在庫から購入するものです。米国債やドル建て社債がその代表で、新発の売出すでに発行された債券を、証券会社が均一の条件で多数の投資家に販売する形式です。外貨建て債券の多くはこの形式で販売されます。 詳しく見る →を待たずに、残存年数や利回りを見比べながら「いま」買えるのが特徴です。

ただし、既発債すでに発行され、市場で流通している債券です。証券会社の在庫から、募集を待たずにいつでも購入できます。 詳しく見る →の画面に並ぶ「利回り4%」という数字をそのまま受け取ってよいかというと、話はそう単純ではありません。単価額面100あたりの債券価格です。98なら額面より2%安く買える状態(アンダーパー)です。経過利子利払日の間に既発債を買うとき、前回利払日からの日数分の利子を売り手に支払う精算金です。次の利払日に全額受け取れるので、損でも得でもありません。 詳しく見る →スプレッド国債など基準となる金利への「上乗せ幅」のことです。発行体の信用リスクと流動性の対価で、社債の値段の本体といえます。 詳しく見る →・為替手数料という4つの実務を理解して初めて、自分が実際に手にするリターンが見えてきます。この記事では、証券会社の債券部門がお客様に説明してきた内容を、個人投資家向けに順序立てて解説します。


①単価——「100」を挟んだ上か下かで性格が変わる

既発債は額面債券の券面上の金額で、満期に払い戻される基準です。債券価格は「額面100あたり」で表されます。100に対する単価(価格)で表示されます。単価98で買えば「アンダーパー額面(100)より安い価格で取引されている状態です。満期には100で償還されるため、値上がり分(償還差益)が利益になります。」、103なら「オーバーパー額面(100)より高い価格で取引されている状態です。高い利子を受け取れる代わりに、償還時には差損が出ます。最終利回りは両方を織り込んで計算されます。」です。

  • アンダーパーの債券表面利率額面に対して毎年支払われる利子の割合です。債券の価格が変動しても、この率は変わりません。が現在の金利水準より低い債券です。受け取る利子は少なめですが、満期に額面100で償還満期を迎えて、額面のお金が投資家に払い戻されることです。されるため、その差額(償還差益)がリターンに上乗せされます。
  • オーバーパーの債券:表面利率が高い債券です。毎回の利子は多いものの、満期には買値より低い100で償還されるため、その差損を利子で埋めていく形になります。

どちらが得かは最終利回りいまの価格で買って満期まで保有した場合の、年あたりの収益率です。単価と利子の両方を織り込んだ「本当の利回り」で、債券比較の基本になる数字です。(YTM)」がすでに両方を織り込んで計算しているため、利回りが同じなら経済的にはほぼ等価です。画面で比較すべき数字は表面利率ではなく最終利回りです。なお、利子がまったくなく大幅なアンダーパーで買うストリップス債利子の支払いがなく、額面より大幅に安い価格で買って満期に額面を受け取る債券です。複利運用が商品に内蔵されており、値動きは大きめです。 詳しく見る →(ゼロクーポン債)は、償還差益だけでリターンを取る形で、同じ残存年数でも金利変動に対する価格の振れが最も大きくなります(この感応度の話はデュレーションの解説記事をご覧ください)。


②経過利子——買うときに「立て替える」利子

債券の利子は利払日にまとめて支払われますが、既発債を利払日と利払日の間に買うと、前回の利払日から受渡日までの利子は本来売り手のものです。そこで買い手は、購入代金に加えてこの日数分の利子(経過利子)を売り手に支払います。

「買った瞬間に余計なお金を取られた」と感じるかもしれませんが、次の利払日には半年分の利子が丸ごと自分に入るので、立て替えた分は戻ってきます。損でも得でもない精算金ですが、購入時の必要資金が画面の単価より少し多くなる点は覚えておいてください。米国債の利払いは半年ごとが基本です。


③スプレッド——手数料ゼロの正体

既発外債の取引に「手数料」は表示されません。手数料が無料なのではなく、販売単価そのものに証券会社の取り分(スプレッド)が含まれているからです。これは店頭取引(仕切り取引)と呼ばれる形態で、株式の委託手数料とは仕組みが根本的に異なります。

スプレッドの厚みは開示されませんが、実務感覚では残存年数が長いほど、また流動性売りたいときに、すぐ適正な価格で売れるかどうかの度合いです。流動性が低い銘柄ほど売買のコストが大きくなります。が低い銘柄ほど厚くなります。同じ債券でも「買うときの単価」と「売るときの単価」には差があり、買ってすぐ売れば往復のスプレッド分だけ確実に目減りします。つまり既発外債は途中売却の自由はあるものの、実質的には満期まで持つ前提で選ぶ商品と考えるのが賢明です。提示された利回りが妥当かどうかは、当サイトが毎営業日集計している残存ゾーン別の米国債利回り目安と比べれば見当がつきます——米国債なのに目安から大きく見劣りする提示は、スプレッドが厚い可能性があります。


④為替手数料——リターンを直接削る、比較可能なコスト

円からドルに替えて買い、償還金をドルから円に戻す——この両端で為替手数料がかかります。水準は証券会社によってはっきり差があり、対面証券では片道50銭程度、ネット証券では25銭以下が一つの目安です。仮に1ドル150円・片道50銭なら往復で約0.67%。5年債であれば年率0.13%程度の目減りに相当し、債券のスプレッドと違って事前に比較できる数少ないコストです。すでに外貨(ドル)を持っている場合は、外貨のまま決済(外貨決済)できる証券会社を選ぶとこのコストを繰り延べられます。


税金——2016年以降はシンプルになった

外債の税制は2016年の金融所得課税の一体化で整理され、現在は利子・譲渡益・償還差益のすべてが申告分離課税給与などと合算せず、一律20.315%の税率で完結する課税方式です。債券の利子・売却益・償還差益はすべてこれに当たります。20.315%です。為替差損益も債券の譲渡・償還損益に含めて計算されます。特定口座証券会社が損益の計算と納税(源泉徴収あり)を代行してくれる口座です。債券も株式と同じくこの口座で取引できます。(源泉徴収あり)に対応しており、上場株式や投資信託との損益通算利益と損失を相殺して課税額を減らすことです。債券の損益は、上場株式や投資信託の損益と相殺できます。も可能です。一点だけ注意すると、債券そのものは新NISA運用益が非課税になる制度です。債券そのものは対象外ですが、債券を組み入れた投資信託は対象になります。の対象外です(債券を組み入れた投資信託は対象になります)。


どこで買うか——在庫の厚さと相談力で選ぶ

既発外債の品揃えは証券会社によって大きく異なります。ネット証券(SBI証券・楽天証券・マネックス証券など)は米国債を中心に常時数十〜百銘柄超をサイト上に掲示しており、自分で見比べて選ぶスタイルに向いています。最低投資単位は1,000ドル程度からの銘柄が多く、少額で始めやすいのも利点です。

一方、対面系の証券会社——大手(野村・大和・SMBC日興)や、東海東京・岡三といった中堅、岩井コスモのような中小まで——は、サイトに出ていない在庫を電話で照会できるのが強みです。ドル建て社債や豪ドル債など、ネット証券のリストにない銘柄に出会えることもあり、債券を軸に相談したい方には対面・コール取引の口座を一つ持っておく価値があります。発行体債券を発行してお金を借りる企業・政府・機関のことです。債券投資は「発行体にお金を貸す」ことにあたります。の信用力を自分で判断する材料としては、格付けの読み方の記事が役立つはずです。

まとめ——チェックリスト

  • 比較する数字は表面利率ではなく最終利回り(YTM)。単価の上下はYTMが織り込み済みです。
  • 経過利子は損得ゼロの精算金。ただし購入資金は単価表示より多めに必要です。
  • 手数料無料の正体は単価に内包されたスプレッド。満期保有前提で選びます。
  • 為替手数料は事前比較できる唯一のコスト。往復分を年率に引き直して考えます。
  • そもそも損益の最大の変動要因は為替レートそのものです。利回り差は円高数円分で消えます。外貨建て資産としての位置づけを決めてから金額を決めてください。
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